やがてひとつの物語【ニジガク3rdアルバム感想】

※LLD増刊号のインタビュー内容に触れています。
















しずくらしさとは

演じることにのめり込むあまり、自分の「私らしさ」を見失ってしまう……この気持ちや言葉は本当に私のものなのか? 本当の私はどこにいるのか……

LLDのニジガク増刊号で前田さんが語っているように、しずくは「自分の内面と向き合うこと」が多い人物で、それは演じることが大好きであり、彼女の日常であるが故のことなのだと僕は思っています。自分の今のこの気持ちやことばが誰のもので、どんな物語があるかを考えることはしずくにとっての日常で、だからこそ、ふとした瞬間に自分が抱いている感情が本当に自分のものなのか分からなくなってしまう……

"まだ答えは出せない 簡単には言えない"
"私のこの気持ちや言葉は台詞なのかな"

日常的にこのような思考に陥るのってめちゃくちゃ辛いと思うんですよね。かすみと他愛のない話をしているときに、寝ている彼方を起こしているときに、練習中のふとした瞬間に、こうした思考がいちいち脳裏を過るわけです。辛いし苦しいし、自分も演じることさえも嫌いになってしまいそう。文字通り"一人迷い混んだ闇"の中の状態であり、そんな中自分らしさを取り戻すきっかけをくれた人というのは大袈裟でもなんでもなく、しずくにとっての"闇を照らす一筋の光"なのだと思います。

ただ、個人的にはしずくのらしさは演じることそれ自体に留まらないと思っています。
最近のストーリーでは少しナリを潜めていますが、ロマンチストな部分は歌詞にふんだんに盛り込まれています。先程の"闇を照らす一筋の光"もそうですし、"やがてひとつの物語"というフレーズは「運命的な出会い」に近いニュアンスがあるように感じます。
もうひとつの「しずくらしさ」はやはり好きなものにはとことんのめり込む姿勢でしょうか。演じることへの勢いもそうですが、"先輩"にグイグイ行く部分なんかもらしいなと思います。そういう意味では、「やがてひとつの物語」はしずくのらしさを存分に詰め込んだしずくの物語そのものであるとも思います。そんなしずくと"あなた"の物語が、ステージ上でどのように表現されるのか、とても楽しみです。



余談

"あなた"はしずくから話を受け取ったときに「少し驚いた」みたいな反応をしていましたが内心心臓ばくばくだったのではないでしょうか。いやだってもうこれ告白やん。